憲法の役割・大切さが伝わってきます 

かもがわブックレット 憲法−人生をかけて守るもの

大江 洸、三上 満、小林洋二著

 3人の全労連議長経験者が、憲法への思いをつづった冊子です。大江洸さん、三上満さん、小林洋二さんが憲法との出会い、憲法体験、憲法改悪への憂いなど人生体験を基調に語っています。
 大江洸さんは、府職労の大先輩であり20歳代から書記長を経験し、副委員長、委員長を歴任、京都だけでなく全国の民主的自治体労働運動、全労連の指導的役割を果たしてこられた方です。
 大江さんの「憲法知事とともに歩んで」は、牧野富夫日本大学副学長が「序にかえて」で記しているように「引き込まれるように、一気に読まされ」る中味で現代から未来に光を与えるものです。
 青春時代に出会った憲法、この憲法を媒体に蜷川知事との出会い、「憲法をくらしに生かす」京都府政の推進と財政危機の中で労働条件の改善と府民要求の実現、府民のための行政推進、人生をかけたたたかいへの思いが伝わり、感動的です。その人生は、「いつも憲法があった」といえます。
 それだけでなく、苦難のたたかいの中で確立した「自治体労働者論」、憲法を府政に生かす蜷川府政の真骨頂、ロマン、知らぬ間にその世界に引き込まれていきます。仕事においても暮らしにおいても憲法の役割、大切さが事実を通して伝わってきます。
 三上さんは、自分史から憲法と教育基本法を語り、小林さんは壮大な憲法擁護の運動を訴えています。
 三上さんの話には、いろんなエピソードが盛り込まれています。例えば、女性の参政権に触れたくだりでは、「女性の参政権は、憲法が制定される前のこと」と振り返り、名古屋でキンさん、ギンさんにに会ったことと関連させ2人が人生の中で「一番うれしかったこと」とのインタビューにこたえ「はじめて選挙に行ったこと」との話など楽しい。
 小林さんは、今の労働運動と政治状況のポイントを鋭く提示し、戦後の労働運動が「憲法を守れ」が団結の焦点であり、その精神を引き継いでいるのが全労連であることを解き明かし、「憲法守れ」の運動を正面にかかげた闘いを呼びかけています。