若い世代の共感広がる

文庫でベストセラー続く

「蟹工船・党生活者」/小林多喜二著(新潮文庫、400円+税)

 多くの書店で平積みにされ、東京の大型店では文庫売り上げが1位に。その売れ行きのすごさを新聞が大きく報道し、テレビのワイドショーも取り上げる――数カ月で数10万部も増刷されるという大ブームになっています。
  『蟹工船』は戦前のプロレタリア作家、小林多喜二の代表作です。オホーツク海でとったカニを船上で缶詰にした船を舞台に、地獄のような労働や虐待の中からストライキに立ち上がった人々を描いた作品です。

 この過酷な労働が、派遣やフリーターの若者が置かれている劣悪な労働条件に酷似していることから、とりわけ若い世代でこの本への共感が広がっているといいます。
 一度は弾圧されますが、再び立ち上がる労働者らに希望を感じるとともに、連帯することや行動を起こすことの大切さも教えてくれる1冊。
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