学んで、語りあい、知らせあい

京都府立大学九条の会

       教員・学生・職員・大学関係者ががっちりスクラム

 京都で250を越える地域や職場で結成されている「九条の会」。昨年4月21日、京都府立大学で「憲法9条の日本を誇りにします」を合言葉に、学生、教職員、生協など大学関係者合わせて30名が参加し、「府大・憲法九条の会」(※以下、「九条の会」)が発足しました。

 ひとりも殺してはいないという事実

 学園祭「流木祭」の期間にキャンパス内でパネルを使っての9条シール投票をとりくんだのが、学生です。50数名の学生が投票するなか、40名を超える方が「9条を変えることに反対」の意思表示を行いました。「平和憲法を守ってほしい」との声が多数寄せられたことに改めて驚かされ、対話を広げることの大切さを実感したといいます。
 「九条の会」の発足にあたっての14名の呼びかけ人のひとりにも名前をつらねたTさんは、「いまの戦争放棄をうたった憲法のもとでは、日本は戦場でただひとりの人間も殺してはいないという事実は重い」と語ります。卒業までの間、少しでも多くの学生に「九条の会」への参加をよびかけていきたいといいます。

 「現実の矛盾こそがグッドバランス」

 「九条の会」の広報担当を自認するMさんは、「研究者・専門家の自己満足に終ってはいけない。学内における有権者の圧倒的多数は学生たち」と語ります。
 昨年6月には「静かに9条を考えるミーティングをしよう」と呼びかけ、学生9名とお酒も飲みながら軽い懇談の場をもちました。台湾やネパールからの留学生やアフリカ・リマからの研究生も参加し、9条だけにとどまらない広い内容でのコミュニケーションが深まりました。今年1月には2回目のミーティングを開く予定です。
 「憲法9条は理屈で考えるものではなく、第2次大戦の猛省から生まれたもの。いまの自衛隊を軍隊にする必要はない。9条のもとでの自衛隊という現実の矛盾こそがグッドバランス」と強調します。

 大学人として無関心ではいられない 

「実は私が火付け役の一人なんです」
 そう語るのはIさんです。「大学人として、憲法9条をめぐる動きには無関心ではいられない。府大の職場で九条の会を立ち上げたらどうか」と、04年12月に開かれた府大支部定期大会の場で発言しました。
 その後、翌年1月には支部が「憲法9条問題学習会」を開催、2月には「憲法9条を考える会」が発足、4月の憲法九条ミーティングの場での「九条の会」発足、そして定期的な学習会の開催へとつながっていきました。
 Iさんは、日本科学者会議の憲法九条フォーラム推進委員会委員長の立場から、全国でのフォーラム開催にもとりくんできました。「いま、国のあり方を大きく変えていこうという動きがマスコミも総動員して強められているもとで、教育者として、未来を生きる学生がおかしいことをおかしいとはっきりと指摘できる力を育んでいきたい」と語ります。
 「九条の会」についても、「平和への思いを語り合うだけの場に終わらせずに、教育をはじめとして自分たちの身近な問題にひきつけて、とりくみを発展させていきたい」と話します。

 目に見えるとりくみをさらに 

 「どんな形での国民投票になったとしても、憲法9条改悪反対という結果を示せる世論をつくろう」「そのためにも、さらに学内での世論づくりに努力し合おう」
 12月22日の昼休み、激しく雪が降りしきるなか集まった「九条の会」メンバーによって改めて確認しあった目標です。
 この日は、自民党が11月末に発表した「新憲法草案」についてOさんが報告。「戦争の放棄」から「安全保障(のためには戦争をする)」ことへの転換など、その危険性についての指摘を行いました。
 Nさんが、高校時代の恩師が書かれた戦争体験の手記を紹介しました。
 この日の集いの前日には府大支部の定期大会が開かれ、改めて「九条の会」を強く支持してとりくんでいくことが確認されました。
 発足してから2年目の今年、「府大・憲法九条の会」は、さらに確かな一歩を踏み出そうとしています。

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