健やかに生まれ、育つ環境づくり 

職場全体で子育て支援

京都府の子育て支援計画がスタート

 次の時代を担う子どもたちが健やかに生まれ、育つ環境をつくるために、国、地方自治体、企業等が一体となって、社会全体で子どもを育てる家庭を支援していこうとつくられた「次世代育成支援対策推進法」。京都府も、この4月から「きょうと未来っ子21プラン」を「きょうと未来っ子いきいき推進計画」にバージョンアップするとともに、子育て中の京都府職員を支援する「特定事業主行動計画」をスタートさせました。

   新学期がスタート

 満開の桜のもと、保育園や幼稚園の入園式、小中学校の入学式の光景には毎年のことながらほほえましいものがあります。カメラやビデオで一生懸命、我が子のようすを撮る親たち、不安そうに親にくっついている子どももいれば、友だちを見つけ走り回っている子どももいます。子育て中の家庭にとって大きな節目となる季節ですが、親たちも年度初めや人事異動と一年で一番あわただしいとき、新しい生活に期待と不安でいっぱいの子どもたちとゆったりした時間がもてているでしょうか。子育て中の労働者にとって、仕事と子育ての両立は大きな課題となっています。

  京都府特定事業主行動計画

 次世代育成法は、国や地方自治体を「特定事業主」と定め、行政機関としての立場はもちろんのこと、一つの事業主としての立場から、そこに働く職員の仕事と子育ての両立支援を積極的に行う責務があるとし、企業の模範となるような行動計画を策定することを義務づけました。
 京都府も4月から「京都府特定事業主行動計画」を策定、男性職員の「育児休業の取得率を10%に」「育児のための休暇日数取得を10日に」、また全職員の「時間外勤務を10%縮減」という数値目標もかかげました。この計画の趣旨や既存制度を体系的に整理した「次世代育成支援対策ハンドブック」を作成し、全職員への周知を図ることもうたっています。


  子育て中の職員が実感できるものに

 「特定事業主行動計画」というのは、要するに「子育て支援の職場づくり計画」です。子どものいる人もいない人も、府職員だれもがその趣旨を理解し、実践できるようなわかりやすいもの、子育て中の男女職員が職場が自分たちの子育てを応援してくれていると実感できるようなものでなければなりません。
 「出産のとき、夫は休みをとってくれたが、その夜、職場に戻り深夜まで残業していた」とか「子どもの世話で早く帰るという男性職員に『嫁さんおらんのか』と言う」とか「保育園に預けている子がいるのに、残業していても何にも感じていない」など、「所属長の配慮がほしい」という職場の声に対して、何らかの対応がされるべきです。
 また、「育児時間を申請しているが、職場が忙しくて時間が来ても帰りにくい」「事務分掌が減らず、昼休みや持ち帰りでこなしている」とか「5時以降に会議や担当者の打ち合わせが行われる」「時間外を前提とした業務量になっている」「フラット化で1人で責任をもつ仕事のすすめ方になり以前より休みにくくなった」「忙しい職場に異動させてておいて『早く帰れ』と言ってもらっても…」という事態も解決されなければなりません。

  子育てはハンディキャップ?

 女性部の子育てアンケートには、「職場に迷惑をかける」とか「よく休んで申し訳ない」という声も多く寄せられています。「もっと支えてあげたいんだけど、こちらも余裕がなくて、つい…」という職場の声も聞かれます。
 人員削減が続き、職場がキツキツの働き方でみんなが年休もとれない職場では、育児時間や部分休業、子どもの看護休暇など、制度はあってもとりにくいのが現状です。
 行動計画を策定した当局の責任を明確にさせながら、職場をあげて子育て支援にとりくむなかで、府職員一人ひとりが、子育てを仕事をしていくうえでのハンディキャップと感じるのではなく、子育て経験が京都府の行政施策をはじめ、仕事や社会活動に生きると感じるようになり、地域社会においても、今まで以上に次世代育成のとりくみに貢献できるようにしていかなければなりません。


  京都府の全職員が対象

 「子どもと過ごせる時間を増やしたい」「家族そろって夕食やお風呂を」「子どもの病気など必要なときに休みやすい職場だったら」子育て中の職員の切実な要求は、本来、職員みんなの要求でもあるはずです。
 「子どもがいる人もいない人も、男性も女性も、恒常的な残業をなくし、年休等がとりやすい職場にすることが一番の子育て支援になります」アンケートに寄せられた声です。
 「京都府特定事業主行動計画」が実効あるものとなるよう、今後、職場において絶えず実施状況を点検していくとともに、病院などの交替制職場や非常勤職員を含め、すべての府職員が実感できるものにしなければなりません。
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