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京都議定書発効

京都の責任KYOTO発の新しいモデル、情報の発信を―


 2月16日午後2時、京都議定書が発効しました。気候変動枠組条約第3回締約国会議、いわゆる「COP3」がこの京都で開かれ、議定書が採択されてから実に7年、ようやくの発効となりました。
 この日、議定書採択の地、京都では、政府主催の記念行事とともに、この7年間、温暖化問題にとりくんできたNGOや宗教者、青年グループなどが発効記念のさまざまなキャンペーンを実施し、議定書発効を心から祝うと同時に、温暖化対策を確実にそして大幅に進めなければならないことをアピールしました。(写真は、府庁正門横にある地球環境宣言の木碑)

 大歓迎だけど新しい重い荷物が

 「この7年間、がんばってきた者としては議定書が実を結んでほんとによかった。それはもう大歓迎です。一時は京都議定書はもうムリ、別の新しい枠組をという動きもありましたから」地球温暖化防止京都ネットワークの1人は感慨深げに言います。
 と同時に、「新たな責任と義務が生じます、私たち環境NGOも、京都府も、府民も、事業者も。今度は目標達成という、とても重い荷物を背負って歩かなければならない。京都で環境問題に関わる者の宿命のようなものを感じています。京都がどう動くか、世界中の人が注目していますから」とも。

 6%削減をどう進める?

 CO2など温室効果ガスの削減を先進国に義務づけた京都議定書、それが史上初めて法的拘束力のある国際法として発効したわけです。日本に義務づけられた削減量は、2012年までに1990年の排出量の6%減。しかし、この間CO2排出量は増えつづけ、03年にはすでに90年より8%増えているわけですから、目標達成には14%減らす必要があります。
 02年に政府がまとめた地球温暖化対策推進大綱では、排出の8割を占める産業部門、火力発電所など大口排出源への対策が抜け落ち、原子力発電などの技術開発でせいぜい2%減。森林整備による吸収量として机上で算出したもので3・9%減。足らずまいは先進国間の排出量取引などの制度(京都メカニズム)を活用してという見込みです。
 しかし、環境省は「現段階で政府が確保できる見通しはゼロ」と。森林整備や京都メカニズムという、数字あわせのための「抜け道」、それすらも達成困難というのが実情です。議長国の日本が国内目標を達成できないでは、今後の国際交渉にも悪影響を及ぼします。

 京都府条例に注目

 京都は京都議定書を生み出した地として、その名に恥じないとりくみが期待されています。京都市は昨年11月に10%の削減目標を明記した「地球温暖化対策条例」を制定しました。京都府も来年度中に温暖化防止条例をつくることとしています。
 「私たちは京都府条例に注目しています。ぜひ全国のお手本になるいいものをつくってほしい、京都の貢献度が目に見えるよう、削減目標を数値で明示してほしいと思っています」そして「目標達成のための分野別の具体的目標や波及効果が大きく、政策上優先順位の高いリーディングプランをどうつくるかということも大切ではないでしょうか。CO2排出量の正確な把握とさまざまなとりくみをCO2排出量に結びつけるような環境マネージメントシステムの確立も必要だと思います」代表の1人からは、条例や具体的な施策のイメージがあふれるようにでてきます。

 府民との協働を大切に

 「温暖化防止の実現には府民も参加して実施を検証しながら高めていくプロセスが不可欠です。そのためにも、環境審議会の審議、条例案の作成、議会での議決など、条例制定の過程全体に、専門家や府民が直接かかわれるような仕組みづくりが必要ではないでしょうか」と原さんは強調されます。
 「緑の公共事業」や「府内産木材の認証制度」も大切な施策ですが、一方で無秩序なマンション建築ラッシュ、年間880万トンものCO2を排出する舞鶴石炭火力発電所、自動車交通量を増やす京都市内高速道路の建設など、温暖化防止に逆行する施策もかかえたまま。温暖化防止条例の制定にあたっては、その目的・理念に反する施策は見直すべきではないでしょうか。持続可能な社会めざして、待ったなしです。。
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