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えっ何それ! 府南部の大型店進出ラッシュ

いま、考えられないことがおこってる

 「国から地方へ」「官から民へ」の名のもと、三位一体改革、押しつけの市町村合併など地方自治を破壊し、自治体の公的責任を投げ捨てようとする動きが強まっています。京都府が憲法と地方自治が生きる「府民の暮らし応援の府政」であるかどうかが問われています。府民の目線で府政を点検していきます。(写真は大型店)

 「考えられない事態が起こってるんです。もうメチャクチャです。…」京商連事務局次長の第一声です。何がメチャクチャなのか、聞きました。
 京都府の宇治以南にはジャスコ、イズミヤ、サティ、アルプラザなど46の大型店舗があります。その売場面積は27万2千u。そこに今、新たに7つの出店計画があって、その売場面積がなんと11万6千uだと言うんです。ここ1〜2年で人口はそんなに変わらないのに、既存店の4割以上もの売場面積が増えるという計画。「短期間にこれだけの出店計画が出そろうのは、京都府政始まって以来のことでは…」と藤田さんは言います。

 学研都市に2つの超大型店

 その最たるものが、近鉄高の原駅(木津町)に計画されている「高の原ショッピングセンター」。運営主体は関西文化学術研究都市センター鰍ナキーテナントはイオン。商圏範囲は50万人規模で、人口でみても京都市伏見区宇治以南、奈良市北部はすべて網羅という府内最大規模。売場面積は4万2千u。営業時間は朝9時から終電(午前0時すぎ)まで。駐車台数は約2000台。映画館は8館。しかも、そこからわずか2・5キロしか離れていない精華町光台には売場面積2万3千u、商圏規模、数十万人の「精華町光台ユニー」の出店が同時に計画されています。ユニーは「京都初進出で意欲を燃やしており」の報道があるように、すさまじい顧客獲得競争が生まれることが予想されます。関西学研都市計画(計画人口21万人が現在7万人)の失敗と変貌を象徴するかのような内容です。

 八幡でも、宇治でも

 さらに国道1号線沿いの八幡市一ノ坪にはイズミヤが、ボートピア八幡(場外船券売場)と事実上セットで進出。同じ国道1号線沿いにある久御山ジャスコ(映画館併設)と商圏が競合、八幡サティや周辺商店街の存立環境を奪う可能性があります。また、宇治市ではコーナン宇治店を「核」店舗にケーズデンキの進出計画や宇治アルプラザのゾーン進出計画があります。

 なぜこんな事態に?

 2000年に「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」が施行されて以来、大型店の進出は事実上野放し状態。その結果、大型店の飽和状態が生まれ、既存店を含む共倒れ現象が起きています。地域の中小小売業者や地元商店街は死活の危機にさらされてきました。法施行後、府内で5つの商店街振興組合が解散しています。各市町村の「基本計画」や「町づくり計画」にも重大な影響をおよぼしています。今回の大型店進出ラッシュは、これらを加速するものです。

 京都府の果たす役割は?

 大型店の出店規制強化の要求に対して、知事は「対策は市町村の事業、現行法の下では、府として調整できない」という答弁に終始していますが、野田川町へのPRANT4出店計画に対して、与謝地域の商工会、商工会議所などが影響度調査を行い、京都府や関係機関に意見書をだしたり、各町議会名で京都府への意見書を提出するなど、地方自治体の権限で中小小売業者を守り、まちづくりを進めようという広域的な動きが始まっています。
 また、「小売商業調整特別措置法(商調法)」では知事が関与して、大型店との話し合いを調停・あっせんすることができるとなっており、申請する商店街振興組合も出てきています。
 大型店の進出ラッシュに対して「京都府ができることはいっぱいあると思う」と藤田さんは言います。ましてや「高の原ショッピングセンター」は学研センター鰍ニいう府が出資している第3セクターによる誘致計画。府民のためになるのか、地域開発としてこれでいいのか、京都府の判断が問われています。
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