地域経済に大打撃・地域給で賃金に大きな格差

物価指数を無視した京都市の地域給

人事院の「給与構造の見直し」は矛盾だらけ

 8月11日頃とも見込まれている今年の人事院勧告を前にして、人事院は「地域の民間賃金を反映した給与」「勤務実績をより給与に反映する仕組み」を柱に、給料表を5%程度引き下げることをはじめ地域手当や査定昇給など、公務員賃金の大幅な見直しを今年の勧告で行おうとしています。 こうしたもとで府職労が7月14日に入手した情報によると、人事院が地域手当の指定基準案について次の方向で検討していることが明らかになりました。府職労は、「給与構造の見直し」に反対し、近畿人事院包囲行動や中央行動に積極的に参加しています。いま人事院あてのジャンボハガキにとりくんでいます。

 その情報によると、地域手当の支給対象地域と地域毎の支給率を決めるための基準案について、@全国平均を100とする賃金指数が96・5以上の地域を指定することを基準にして3・6・10・12・15%の支給区分ごとの賃金指数を示すとともに、東京特別区は特例として18%とする、A物価指数101・5以上の地域で、賃金指数95・0以上の地域は支給区分を3%とする、B前記2つの基準を満たす支給対象地域の周辺地域について、支給対象地域(県庁所在地又は30万人以上の市に限る)への通勤者率(パーソン・トリップ)の基準を満たす地域は3%支給地域に指定する、という内容になっています。

 民間賃金だけを基準にする誤りは明らか

 京都府に関係する支給地域と支給率は、京都市が10%、宇治市、亀岡市、京田辺市が6%、向日市、木津町が3%となっています。なお、向日市と木津町は、通勤者率(パーソン・トリップ)により3%に指定されています。(写真は近畿人事院への申し入れ)
 京都市は、賃金指数が103・9で10%の支給区分になっていますが、物価指数は105・8で全国10番目(県庁所在地及び人口30万人以上の市では4番目)という高い数値を示しています(トップは東京特別区で111・6であり、地域手当15%の大阪市は104・8と京都市より低い)。このことは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を基本に「地域手当」の支給率を決めようとすることの大きな矛盾といえます。また、現在の京都市の調整手当が10%であり、これを廃止して地域手当を10%にするということは、結果として5%程度の給与カットが行われることと同様になります。
 また、俸給水準の5%程度の引き下げについて「人事院は、一定期間の昇給延伸措置により実現する方向で検討している」とのマスコミ報道もあり、人事院勧告にむけて「給与制度の基本的見直し」の動きが大詰めにきています。

 水準引き下げの昇給延伸

 かつて、京都府でも昇給延伸が行われましたが、その措置は「臨時・緊急」のものであり、3年間で復元させました。
 また、1年目と2年目及び3年目の1月から3月分の昇給延伸による損失補填は実現していませんが、昇給延伸復元時に成績特昇を前倒しして6ヵ月ないしは3ヵ月の昇給短縮を実現するとともに、昇格ポイントや一時金の役職加算ポイントの据え置きなど前進的な回答を引き出してきました。
 しかしながら、人事院が今回検討している昇給延伸は、まさに給与水準引き下げそのものを目的としたものであり断じて認められません。


 近畿人事院も認める地域給の矛盾  緊急要請


 京都公務共闘は20日午後5時、人事院による地域手当指定基準(案)を受けて、人事院近畿事務局に緊急の抗議・要請行動を行いました。山村公務共闘議長(京都自治労連委員長)や府職労の河合書記長は、今回の「地域給」について、格差と不均衡の拡大につながるものであると批判するとともに、(案)は矛盾に満ちた納得できないもので、拙速な結論は出すべきでないと、作業の中止と再検討を本院に強く伝えるよう要請しました。
 対応した人事院近畿事務局の宮川総務課長は、「京都市の物価指数の高さは私どもも理解しているし、当然議論の対象になると思う。京都の要請は(個人的に)よく理解できる。ただ本院がどう判断するのか…。京都からの要請については、いただいた文書を含めて早速本院に伝える」と回答しました。