地方財政危機突破に関する緊急決議


全国知事会・市町村会など地方6団体集会

 地方自治確立対策協議会 平成16年度を初年度とする「三位一体の改革」は、地方交付税の大幅な削減、国庫補助負担金の廃止に伴う本格的な税源移譲の先送りなど、国の財政再建が優先され、地方財政に大きな打塑を与え、平成16年度の予算編成に重大な支障を及ぼした。これは.本来の地方分権推進のための「三位一体の改革」にほど遠い内容で、国に対する地方の信頼と期待を裏切るものであった。
 我々地方公共団体は、未曾有の財政危機に直面する中、人件費の抑制、事務事業の抜本的な見直しによる歳出削減など、徹底した行財政改革に懸命に取り組んでいる。平成17年度以降もこのような状況が続けば、地方公共団体の財政はさらに危機的な事態に陥ることが懸念され、医療、福祉、教育などの住民生活をはじめ、地域経済にも大きな悪影響を及ぼすことが必至である。
 「三位一体の改革」は、地方分権の理念に基づき、地方の権限と責任を大幅に拡大することにより、住民に身近なところで政策や税金の使途決定を行い、住民の意向に治った行政運営を可能とする改革でなければならない。「地方分権」こそが真の「構造改革」であり、究極の「財政再建」であることを国は十分認識すべきである。
 地方分権推進のためには、地方税財政基盤の確立こそが喫緊の課題である。このため、平成17年度以降の「三位一体の改革」については、地方の権限と責任に応じた本格的な税源移譲を進め、地方の声を十分に反映した改革の全体像を早急に示す必要がある。
 よって、ここに全国の地方公共団体は一致結束し、総力を挙げて、次の事項について実現を期するものである。
 1、三位一体の改革」の全体像の早期明示及び国、地方間の協議 「三位一体の改革」が地方公共団体、国民に如何なる影響を与えるかを明らかにするためにも、「三位一体の改革J の全体像と工程表を早急に示し、地方六団体等と協議すること。併せて、地方公共団体の予算編成に支障がないよう、地方財政の見通しを早期に明らかにし、地方公共団体に的確な情報提供を行うこと。また、地方交付税は地方の固有財源であり、その総額を決めるための地方財政対策、地方財政計画の作成にあたっては、地方公共団体の意見を反映させるため、地方六団体等との協議の場を設けること。
1、基幹税による税源移譲の早期実現 地方における歳出規模と地方税収入の乖離を縮小する方向で国と地方の税源配分の抜本的見直しを行い、地方が担うべき事務と責任に見合った税源を基幹税により早期に移譲すること。当面、国と地方の税源配分1:1の実現を目標とし、平成17年度においては、所得税から個人住民税への税源移譲(個人住民税の10%の比例税率化)、現行1%の地方消費税の引き上げによる税源移譲を先行決定し、実施すること。 1、負担転嫁なき国庫補助負担金の廃止 単なる地方への負担転嫁となる国庫補助負担金の削減は、断固認められない。国庫補助負担金は、あくまで地方の自由度を高めるものを対象に見直しを行い、税源移譲額に見合った国庫補助負担金を原則廃止とすること。特に、生活保護費負担金などについては、本来国の責任で実施すべきものであり、補助率の引き下げは到底受け入れられない。 また、国庫補助負担金の廃止で一般財源化された事務事業については、必置規制.基準の義務付け廃止などの措置を併せて講じること。 公共事業関係の国庫補助負担金の廃止に見合う財源については税源移譲を行うこと。
 1、地方交付税の堅持と充実 地方交付税については、国から地方への税源移譲に伴う税源の偏在による地方公共団体間の財政力格差の是正と、一定の行政水準の維持を確保する必要があるので、地方交付税制度が果たす財源調整・財源保障の両機能を堅持し、その内容の充実を図ること。また、地方財政運営に支障をきたすことのないよう、地方交付税の総額については、税源移譲、国庫補助負担金の廃止の状況を踏まえ、平成16年度の大幅な削減前の水準を確保できるよう措置すること。
 1、国直轄事業負担金の廃止 国直轄事業負担金は、直轄事業が全国的視野の下に国家的政策として実施されながら、地方公共団体に対して個別に財政負担を課するものであり、極めて不合理であるため、「三位一体の改革」に合わせて、早急にこれを廃止すること。
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