農業委員会と普及センターの予算大幅削減の方針
                     ー財務省の来年度予算編成審意見書

 財務省は11月24日、全国の市町村に設置されている農業委員会と、都道府県の地域農業改良普及センターの運営費として国が支給している交付金について、いずれも2004年度予算で大幅減額する方針を固めましたた。
 農業委員会と普及センターの設置基準などを見直す法案を年明けの通常国会に提出。農地面積が小さい自治体は委員会を設置しなくてもよいなど自主判断の余地を拡大する代わりに、財政面での国の関与を縮小する方針です。政府が取り組んでいる国・地方財政の三位一体改革の一環として実施。交付金の減額分は、1兆円を目指している補助金削減額に算入するとしています。

国家公務員にも裁量労働制ー通常国会に提案か?

 政府は公務員に対し、働いた時間に関係なく仕事の成果や実績で評価する裁量労働制を導入する方針を固めた模様です。まず国家公務員の一般職(約80万人)への適用を検討し、順次地方公務員に拡大する。情報技術(IT)の活用によって、公務員も多様な就労形態を選べるようにし、業務の効率化や行政コストの圧縮につなげるのが狙い。内閣官房を中心に総務省や人事院など関係省庁の課長級の実務者で構成する連絡会議を年内に設置し、対象職種など詳細を詰めて来夏をメドに原案を策定するものです。2005年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
道州制の検討打ち出す
地方制度調査会が最終答申
 地方制度調査会は11月13日の総会で、最終答申を決め小泉首相に答申。合併特例法失効後の2005年4月以降の市町村合併について、新法をつくって進めることを提唱。
 都道府県が合併構想をつくり、勧告・斡旋で進めるとしています。合併を求める人口規模は「おおむね1万未満を目安」と明示しました。全国町村会と全国町村議会議長会の代表が、合併を求める人口規模を示すことに「多くの町村は嫌がっている。上からの押しつけは容認できない」(山本文男全国町村会会長)と強く反対。全国知事会代表も「強制合併ととられかねない。県と市町村は対等だ」(石井正弘岡山県知事)と、都道府県が前面に出ることに懸念を表明しています。
 都道府県に代わる「道州制」については、「導入を検討する必要がある」と明記。国の役割を重点化し権限の多くを移譲することや、長と議会は公選とするなどの原則を示し、次期調査会で議論をすすめるとしています。
 保険料を毎年0.3%引き上げ
    給付は賃金の50%まで引き下げ
   厚生労働省の2004年提案の年金制度「改革案」
 次の通常国会で提案される厚生労働省の2004年「年金制度改革案」が、各紙で報道されています。
 それによると、年金の掛金を毎年0.354ポイント(京都)引き上げ、2022年に労使折半で20%負担になるまで引き上げる、給付の水準は現在の現役世代の手取り賃金の平均59.4%から5割を下回らないようにする、夫婦の間で厚生年金を分割できる制度を新設するなどの中味になっています。
 毎年0.3%引き上げると「労使合計で約2万円の負担増となる」(日経)模様です。今年からボーナスからも保険料が徴収され、夏のボーナスでガバッと保険料が引かれ、怒り心頭でしたが、さらに引き上げようというのです。20%の保険料になると「労使で10兆円の負担になる」との試算もあります。
 厚生年金の適用基準を週30時間労働から週20時間以上に緩め、パート労働者の加入を促進する方式や70歳以上の高齢者で賃金収入のある人の給付を削減したり、保険料を徴収する案も盛り込まれています。 一方給付は、50%まで引き下げる方針で、現在の平均賃金が約28万円とすると65歳で受け取る給付は基礎年金も入れて15万円程度に引き下げらることになります。
 政府は、年金に対する国庫補助金を段階的に2分の1に引き上げる(85年の年金大改悪の時、全会一致で国会決議されたもの)ようですが、年金財政を理由に消費税増税も遡上にあがろうとしています。
  赤十字国際委員会の事務所閉鎖・トルコは派兵中止
 
 米国内でブッシュの戦争政策不支持が54%に・イラク 

 
 アメリカのイラク政策に国際的批判が広がっています。インド、パキスタンのイラク派兵拒否に加え、トルコが派兵中止を決定したことが明らかになっています。
 「戦闘終結宣言」以降の米兵死者は253人となり、戦闘や攻撃による死者は149人(11月8日現在)に達しています。戦闘はさらに激しさを増しています。 そのため、赤十字国際委員会は8日、極度に悪化するイラクの治安状況を理由に、バクダッドとバスラの事務所を閉鎖すると決定しました。
 これにともなってアメリカ国内でも、ブッシュ政権のイラク政策について不支持を表明する米国民が増えています。CNNとUSAトゥデー紙の7日発表の世論調査を発表しています。それによると、ブッシュ政権のイラク政策に不支持を表明した国民は54%、支持は45%。7月下旬と比べると不支持は15ポイント増、支持は13ポイント減となっています。

 世界は軍縮の流れ、日本だけが毎年3億ドルの増

 
世界は軍事費削減、日本は世界の流れに逆行、こんな流れが、6月発表のストックホルム国際平和研究所(SIPRI)年鑑2003年版で明らかになりました。 ソ連崩壊を契機に米国を含む世界の多数の国が軍事費を減らし、1990-年代は軍縮の流れが続いきました。ソ連打倒のためにレーガン米政権が大軍拡をした85年と比べると、昨年の世界の軍事費総額は63.1%と、四割近くも減っています。英国で、1993年比で13%、フランスは10%、ドイツは14%減。スイスは25%も減らしています。
 紛争が続く中東でもレバノンは02年、前年比で16%削減、オマーンも02年6%減らし、1億ドルを社会福祉に回す方針を発表しました。
 日本は、こうした軍縮に向けた世界の流れに逆らい、過去10年間ほぼ一貫して年平均で3億ドル強の増加をつづけ、今では米国に次ぎ世界第二位の軍事費をもっています。85年比では44%も増加。主要国サミット参加国で85年より軍事費を増やしているのは日本だけです。

イラクへで自衛隊が戦死すれば1億円の弔慰金

 政府は、イラクへ派遣される自衛隊員が死亡した場合の弔慰金について、最高限度額を1億円に引き上げる方針を固めました。防衛庁が殉職隊員に支給する賞じゅつ金の最高限度額を現行の6000万円から9000万円に引き上げると共に、首相が支払う特別褒賞金(最高1000万円)制度をイラク派遣部隊の隊員にも適用。
 戦闘地域の残るイラクでの活動を前に、自衛隊員の待遇を改善するのが目的で、月内にも行われる基本計画の閣議決定を経て正式に決定するものです。

国保料の滞納者が455万世帯に−過去最悪を更新
 
厚生労働省は10月30日、国民健康保険料(税)の滞納世帯数を発表しました。それによると滞納世帯は約455万世帯にも達しています。昨年と比べると約43万世帯の増加で、国民健康保険加入者の約20%、過去最悪です。
 国保料の全国平均は、1世帯あたり年15万7千円、重い負担です。失業者が300万人を突破、滞納者も急増。一年間滞納すれば保険証を取り上げられ、その代わりに「資格証明証」が発行されますが、医療費はいったん全額を窓口で支払わなければなりません。
 03年度の発行世帯数は約25万8千世帯になっています。有効期限を3ヶ月に限定した「短期被保険者証」の発行も、約94万6千世帯に増えています。
 国保料の滞納世帯は1997年から急増していますが、このときの厚生労働大臣は小泉首相です。このときから保険証の取り上げは「悪徳滞納者」に限定していたものを、市町村の「義務」とし、取り上げが急増しました。不況で失業や倒産が深刻になり、国保世帯が増えるばかりなのに。
  

「イラク復興」支援に最大50億ドル−世界で突出


□政府は10月24日、「イラク復興」のための費用負担について、先に決定した2004年分の15億ドル(約1650億円)の無償資金協力に加え、05年から07年までの3年間で円借款を中心に最大35億ドル(約3850億円)の有償資金協力を行うことを決めました。福田康夫官房長官が同日午後の記者会見で発表。小泉・自公政権の決めた拠出総額は50億ドル(約5500億円)に達し、これまで表明されているイギリス9.1億ドル、スペイン3億ドルなどと比べても突出ぶりが際立っています。

リストラ減税から自民党に6億円献金―大手メーカー

□リストラ・人減らしを強行した自動車メーカー6社と鉄鋼3社が、産業再生法によって、この3年間に30億円の減税を受け、6億円を自民党に献金しています。リストラすれば減税される産業再生法は1999年8月、自民党、自由党、公明党の賛成で成立。対象企業の拡大などを盛り込んだ、今年4月の改悪には、民主党も賛成しました。99年10月の施行からことし7月までに、減税の認定をうけた企業は217社。合計810億円減税されました。人減らしの計画は約9万人。労働者1人を減らすごとに90万円が減税され、その一部が献金にまわっているス9.1億ドル、スペイン3億ドルなどと比べても突出ぶりが際立っています。

自民・民主も自治体への補助金削減方針

□地方自治体への国の補助金の廃止・削減問題が大きな焦点になっています。小泉内閣が「三位一体改革」(補助金の廃止・縮減、交付税見直し、税源移譲)を掲げ、民主党もマニフェストに盛り込みました。国庫補助負担金とは 国庫負担金と国庫補助金があります。国庫負担金は、法令にもとづいて国に支出を義務付けているもの。国庫補助金は、特定の事業や事務を奨励するもの。地方自治体向けの補助金は約20兆円(03年度予算、一般会計分は17兆5000億円)。この補助金の内、老人医療、介護、保育所、生活保護などの社会保障関係が61.2%、義務教育費などの教育関係が18.1%で、全体の8割も占めています。これらは、国民の権利である福祉、教育などの一定の水準を保障するために、国が支出しなければならないものだ。削減は国民生活を直撃する大問題。

エンジェル係数が最低に

□野村証券が実施した今年の「家計と子育て費用調査」で、家計支出に占める子育て費用の割合(エンジェル係数)が28.4%となり、91年以降の同じ形の調査では最低となりました。子育て費用に負担を感じている割合は65.1%で過去最高水準だ。調査では、家計支出の平均月額が前回(01年)より2万円少ない27万3000円。子供のための支出は同1万円減って7万8000円で、係数は前回調査から1.7ポイント低下した。93年(33.4%)がピークで、97年以降はほぼ横ばいだったが、再び下落に転じた。第1子の年齢が小学校低学年以下で、母親の年齢が20代という若い世代での低下が目立ちます。