分権時代の地方公務員制度
 −任用・勤務形態の多様化−
    地方公務員制度調査研究会   2003年12月25日
 
 地方公務員制度調査研究会記昨年の12月25日、「分権時代の地方公務員制度ー任用・勤務形態の多様化ー」についての報告書を公表しました。これは、1999年11月の同研究会の「地方公務員制度調査会研究報告」の取りまとめた後、政府の行政改革大綱の閣議決定、「公務員制度改革」において「地方公務員の多様な勤務形態の導入をはかることについては、地域における規制の特例という特区はなく、制度として対応する」という総務省の方針に基づいて審議されたものとされています。
 この「任用・勤務形態の多様化」は、今の通常国会での法制化も視野にいれた「当面検討すべきもの」と国家公務員制度を前提とした「中長期的課題」に分け、「任期付短時間勤務職員制度」の導入を具体的に示しています。
 また、自治体に広範囲に存在している臨時・非常勤職員の脱法的な実態を改善する雇用と身分保障、均等待遇など改善するための「短時間一般職公務員制度」創設は含まれていません。
 
 この報告書を見て、真っ先に浮かんでくるのは、日本経団連が「04年度経営労働政策委員会報告」が提起している「多様な働き方を推進する人事管理」「雇用ポートフォリオ」です。 ここでは、長期継続雇用型「常勤職員」を最小限にし、短時間勤務、有期雇用、在宅勤務、派遣労働、臨時職員などの多様な雇用形態を具体化するもので、財界戦略にそった自治体版が今回の「報告書」です。
 「報告書」が「当面すべきもの」の第1にあげているのが「常勤職員の短時間化」についてです。「自主研鑽のための部分休業」と「暫時的現役離職の短時間勤務」のみを想定しています。
 第2にあげているのが「任期付短時間勤務職員」ほ新たにつくることです。「任期の定めのない短時間勤務制度」は先送りしながら、臨時非常勤職員の「雇い止め」ほ法制化するために利用されかねない内容です。
 第3の特徴になっているは、すべての自治体に「任期付職員採用」を拡大しようとすることです。02年に法制化された「一般職の任期付職員制度」の「高度の専門的な知識経験または優れた識見を有するもの」に限定しているものを解除するものです。さらに今後「要件を問わない部分休業」「任期の定めない短時間勤務制度」は、中長期的検討課題としていくこととしています。
 
 自治労連は2月13日、中央行動を行い、総務省に次のことを要請しています。 研究会報告にそって「任期付」雇用の拡大、「短時間公務員制度」の導入が検討されているが、「不安定な任用・雇用形態の拡大は、公務運営の基本であるべき継続性、安定性、専門性をそこなう危険をもつものであり、自治体リストラの推進のための手法としてつかわれる」など、地公法の「改正作業」の問題点を指摘し、@「任期付短時間勤務職員制度」の導入をおこなわない、A臨時・非常勤職員の法的位置付けの改善と「均等待遇による任期の定めのない短時間一般職公務員」制度の確立、B「自主研鑚のための部分休業」は十分な期間を定めた休業制度とすること、C「暫時的現役離職のための短時間勤務制度」は導入しない、D任期付常勤職員の新たな拡大はおこなわないこと。 
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