「死んだ組合」の顛末

落語作家・笑工房代表 小林康二


 電通社員の高橋まつりさんが、昨年12月に入社8カ月で過労自殺した。会社は社員に、労働基準法36条協定「月70時間」超の残業は「過少申告」させ、高橋さんも100時間超の残業を「69・9時間」「69・5時間」と記載していた。

 電通では、91年にも入社2年目の労働者が過労自殺している。高橋さんが自死する4カ月前の昨年8月、三田労基署は同社に労働時間の上限を定めた「労基法32条違反」の是正を勧告しており、東京労働局などは「労基法違反の長時間労働が常態化」とみて、今年10月、本社と各支社へ抜き打ち調査に入った。

 電通労組は、かかる違法状態を「知らなかった? 」、「見て見ぬふり?」、それとも「知る責任を放棄?」。

 組合は「36条協定」の当事者で、各事業所に設置される「安全衛生委員会」に委員半数を推薦するなど、労働者の安全確保に関与する権限と責任がある。だが電通労組は「死んでいた」。その顛末がこれだ。

 私は遺族が使用者側だけでなく、組合の不作為責任を問う「賠償訴訟」を起こすべきだと考えている。それが過労死問題に消極的な組合への警鐘となり、過労死防止につながるのだ。

 今年は「過労死防止法」施行2年、全国43会場で過労死防止シンポジウムが開催される。だが、一部を除き組合は関心が薄い。

 組合が、または労使共催で過労死防止学習会を行うべきだ。過労死防止全国センター(電話06‐6364‐3300)に相談すれば、家族の会と弁護団セットでも比較的安価に講師を派遣してくれるよ。(連合通信