「3分の2を握れば」

落語作家・笑工房代表 小林康二


 「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と、平等にして譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由と正義と平和の基礎である」 

 1948年12月10日、第3回国連総会で満場一致採択された世界人権宣言の巻頭である。

 同宣言は、アメリカ独立宣言、フランス人権宣言等をはじめ、近代民主国家の憲法に共通する天賦人権説に基づくもので、我が国も憲法第3章「国民の権利及び義務」(第10〜40条)でそれを具現化している。

 要するに天賦人権説は「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
とした価値観である。

 だが自民党の改憲草案は、これを真っ向から否定し、「現憲法は西洋の天賦人権説に基づくもので、我が国の歴史、文化、伝統を踏まえておらず、改める必要がある」(自民党「憲法改正草案Q&A」13ページ)という。

 現憲法が国民の義務としているのは、子どもへの義務教育(26条)、勤労(27条)、納税(30条)の3つだけ。その他の条項は国民の権利を定め、第13条で国民の幸福追求権を国に保障するよう国に命じている。

 ところが天賦人権説を否定する自民改憲草案は、「国と郷土を守る」「日の丸・君が代尊重」「公益及び公の秩序を守る」「緊急事態指示服従」等々、義務・義務・義務で国民の幸せより国益が優先だ。

 天賦人権説は世界の常識と知りながら、真っ向否定した「改憲草案」を提唱する自民党に、私は確信犯としての恐怖を覚える。

 来る参院選、彼らに3分の2を握らせると……。 (連合通信