「憲法の心」

落語作家・笑工房代表 小林康二


 「現憲法で最も重要な条文は?」と問われ、私はちゅうちょなく「幸福追求権の13条」と答えた。
 憲法は、第3章(国民の権利及び義務、10〜40条)で、国民の義務を子供の教育、勤労、納税の3つに限定し、他の条文で国民の幸福追求権に対する国の妨害を禁じた。要するに「国民は誰でも幸せになる権利があり、国はこれを妨げてはならない」が憲法の心だ。

 しかし自民党の憲法改正草案は違う。それは「国民の幸せ」より「国優先」の国家主義である。天賦人権説を「改める必要がある」(自民党改憲草案Q&A)と否定し、国旗・国歌強制や「緊急事態指示服従の義務」など、国民の義務をやたら増やし、これを口実に国民を弾圧できる代物だ。

 だが、国民の多くはまだ気づいていない。加えて、憲法解説書の多くが「正確を期する」必要からか、広範な国民の心を捉えるには難解だ。「憲法の心と、改憲の狙いを面白く……」の思いで、「漫談で斬る!自民党改憲案」(新日本出版社)を憲法記念日直前に上梓した。

 「笑っているうちに『憲法の心』が……」「おかしみの中から真摯な政権批判が」「武器としての笑いで改憲案が鋭く」などたくさんの感想文や、「我が国の平和のために」など10日間で253冊注文が入った。

 例え話が針小棒大、荒唐無稽であっても、それが的を射ておれば、笑いには大衆を動かす力がある。

 憲法と歩を一にしてきた我々憲法世代の思いの丈を、笑いを武器に訴え続けること、それが今を生きる私の使命だと、今回の刊行を通して実感した。。(連合通信