雨宮処凛の世直し随想

 

「いまこそ軌道修正を」
 バングラデシュでテロが起き、7人の日本人が犠牲になった。

 7人とも、バングラデシュの発展のために尽力していたという。あまりにも痛ましい惨劇に言葉を失いつつ、「日本」という国の「安全神話」が崩れ落ちたのを感じた。

 「戦争をしない国」「軍隊を持たない国」。そんな漠然としたこの国のイメージが、紛争地などで働くNGOの人の命を守るなど、具体的に「役に立つ」ものであることを私たちは見聞きしてきた。しかし、それは過去のものになってしまったのか。

 去年の1月、安倍首相はイスラエル国旗の前でISと戦うことを事実上、宣言した。

 そうして後藤健二さんと湯川遥菜さんは殺害され、ISが出した声明文には「アベよ」から始まる以下のような文章がつづられている。「勝ち目のない戦いに参加するというお前の無謀な決断のために、このナイフはケンジを殺すだけでなく、お前の国民を場所を問わずに殺りくするだろう。日本の悪夢が始まる」

 テロとの戦いは終わらない。私たちは9・11以降、ずっとそんな悪夢を見せられ続けている。武力で解決しようとすればするほど、憎しみの連鎖は広がっていき、世界をテロへの恐怖に染め上げている。

 もう、こんなことは終わりにしたい。そのためには武力で解決とか、戦争できる国になるとか、その逆方向の思考が必要なのだと思う。だけど今、日本はその反対の道を進もうとしている。なんとか、軌道修正したい。日本だからこそできることがあるのだ。〈連合通信〉