雨宮処凛の世直し随想

 

生活保護に切り込む漫画
 『健康的で文化的な最低限度の生活』第3巻が発売された。柏木ハルコさんによる、生活保護担当の新米ケースワーカーの奮闘を描いた漫画だ。ソーシャルワーカーや支援団体などに綿密な取材をして描いた漫画は臨場感にあふれていて、いつも手に汗握る。そうして第3巻で描かれているのは「高校生のアルバイト」問題と「扶養照会」問題。

 生活保護世帯の高校生がアルバイトをすると、申告しなければならないわけだが、子どもが親にバイトを隠していた、あるいは親が子どもに生活保護世帯であることを隠していたなどの理由で申告されないことがある。本人に悪意がなくとも「不正受給」とされてしまうアルバイト代。一生懸命働いて、やっと手にしたお金なのに、周りの友達はバイトなんかしなくても親におこづかいをもらって遊んでいるのに、どうして自分だけ? 生活保護世帯の子どもがそんなふうに思うのは当然で、いかに自暴自棄にさせずに納得してもらうかが腕の見せどころだが、新米ケースワーカーには高すぎるハードルだ。

 一方、生活保護を申請すると親族に「援助できないですか?」という手紙が行く「扶養照会」も問題をはらむ。DV(家庭内暴力)で逃げていたり、家族関係がこじれていたりする例も少なくないからだ。

 生活保護という言葉を出しただけで、バッシングにさらされる世の中だ。しかし、現場取材を通して描かれたこのような漫画によって、少しでも偏見がなくなればいいと思う。支援団体の人たちの間でも大評判の作品。普段漫画を読まない人にもぜひ読んでほしい。〈連合通信〉