「ゆかいな組合運動を」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 「面白かった、お客さんも大喜びです、また来年も」

 毎年7月、豊田労働金庫が笑工房から二組の芸人を招き、市民文化会館で開く「地域ふれあい寄席」が今年で12回。客席450は毎年満席になる。それだけに「期待を裏切らないように」と芸人選びに苦労する。

 今年は笑福亭松枝の子育て落語「子の心、親知らず」と、三吾・美ユルの父娘漫才。いずれも大受けし意気揚揚で会場を後にした。

 だが、いつも成功とは限らない。先日、H組合の結成60年集会に芸人二組を派遣したが、宴席で客が集中せず大すべり。帰路、私も芸人も首うなだれ無言でトボトボ、辛いよ。

 「励ましの笑いを全国に届ける」笑集団・笑工房を設立して16年。よく続いたと思う。

 この世界、映画・演劇と違って芸人による台本の換骨奪胎が常態で、作家はしばしば悔しい思いをする。「それなら」と、今年後期高齢者の私が恥も外聞も捨て、憲法や労働法を漫談で面白く説いている。人間その気になればできるものだ。

 31年間の組合専従職にあった私は「愉快で楽しい組合運動こそ、労働運動活性化のカギ」と考えている。

 あの井上ひさしも「むつかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに」と説く。

組合員に難しい長演説をする幹部を見ると「お前は組合弱体犯だ、ひっこめ」と怒鳴りたくなるが、それをすると笑工房は受注が途絶えて倒産するから、見て見ぬふりをする。ああ、とかくこの世はままならぬ。