「災い転じて福へ」

落語作家・笑工房代表 小林康二

  「『大企業の内部留保を吐き出させれば、日本の財政危機は乗り切れる。心配ない』と聞いていたが、本当?」。講演先での質問だ。

 日本の借金はGDP(国内総生産)比200%超で世界最悪。政府の財政制度等審議会も経済成長率3%を維持し消費税15%でも2060年に借金はGDP比550%に膨れると指摘する状態で、「内部留保」で解決できる水準ではない。しかも「内部留保」には退職金引当金等、事業継続に不可欠な資産も含まれ、全額「吐き出させる」ことは実現不可能な話だ。

 世界800年の国家破綻を研究したハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は著書『国家は破綻する』の日本語版への序文で、国家破綻を「どこかよその国、よその時代のよその人に起きる出来事」と思い込むのは「無知と傲慢だ」と警告。米国国家情報会議が大統領に提出した報告書「2030年世界はこう変わる」は、国債暴落で「負債を返せない国」として「特に不安なのは日本」と名指しし、08年のリーマンショックを的中させた米投資家カイル・バスは「5〜7年の間に日本の国債は95%の確立で暴落する」と断言するなど、「日本の破綻近し」は世界の常識だ。

 国債の暴落は超インフレを招いて国民生活を直撃するが、長期的には円の下落で農業や製造業が復活し日本再生のチャンスだ。

 岡山県真庭市や長野県飯田市等、各地で原発や化石エネルギーに依存せず「円暴落」でも地域経済を活性化できる取り組みが始まっている。さあ、「災い転じて福」とし「大企業栄えて民滅ぶ」社会から脱皮だ。