「街が壊れていく」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 八百屋、豆腐屋、魚屋、化粧品店、洋服屋、果物屋、履物屋、玩具屋、時計店、散髪屋……帰路の十三東通商店街で閉店が続く。2月には校門前で60年超営業してきた老舗文房具店が閉じ、さらに、90年の歴史を誇る大阪市立十三小学校が、橋下市政で廃校の危機にある。店主らは「絶対反対」を叫ぶが、シャッター街と化した商店会に力はなく、街が壊れていく。

 これは全国に共通した現象だ。

 アベノミクスは金融市場に大金を投入し、円安と株価高騰で一握りの富裕層を喜ばせた。だが、産業空洞化が進み円安にもかかわらず輸出は伸びず、貿易赤字は増大の一途。これを見てアメリカの格付け会社ムーディーズ社は「日本の貯蓄と投資のバランスは、国内の資金需要を国内の貯蓄で賄いきれず、海外からの資金調達に依存する転換点に近づいた」と指摘する。

 確かに、現状では数年後には経常収支も赤字に転落し、国内で国債を買い支える力を失い、国債下落・金利上昇・財政破綻・国民生活大打撃は必至だ。

 そんな折「身近な資源を活用し、マネー経済に翻弄されない地域循環型経済」を目指す「里山資本主義」(NHK広島取材班・角川新書oneテーマ21)が注目を浴びている。

 中でも、「打倒!化石燃料」を合言葉に「木を徹底活用し経済の自立を目指す」オーストリアの経験は示唆に富む。オーストラリア同様、森林環境に恵まれた日本人に勇気・元気・やる気を起こさせる。たとえ化石燃料に恵まれなくても我々に木(気)があれば未来は明るい。