「今年こそ懐も心も暖春に」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 「この春こそ、景気回復の実感を、収入アップという形で国民に届けたい。このことが消費拡大を通じて、さらなる景気回復に……」。4月の消費税3%増税を機に、消費の落ち込みを懸念した安倍晋三首相の年頭記者会見発言だ。

 私は聞きたい、自民党の総理大臣でさえ「収入アップで消費拡大」を力説する昨今、「賃上げわずか1%は一体誰の要求だ?」と。

 組合運動は労働者が確信する要求に依拠しなければ力を持たない。それだけに賃上げ等、要求の決定が大切で、一枚のアンケートで要求を決める手抜き運営では組合運動は活性化しない。

 「要求討議」とは、生活や労働の実態を、もう一度見つめ、考え、そこから要求の必要性・正当性を自覚し、それを共通の認識に広げる運動だ。労働者の要求はその環境によって異なるが、それを把握整理し、共通のものにまとめていく作業が「要求集約」である。

 幹部が数軒の家庭訪問で家族の生の声を聴き、生活実態を把握し、討議資料として、又は「我が家の春闘要求発表会」等で、その根拠を組合員や家族に語らせ、「なぜこの要求か」を労働者共通の認識にする等々の取り組みが必要だ。

 「連合」大罪の一つが、労働者の声を無視した上意下達の組合運営にある。

 ただ、組合運動はその要求に国民的支持がなければ孤立敗北する。企業内でも非正規や管理職等、全社的支持を得た大義名分ある要求が肝要だ。いずれにしても、今春闘は久々のチャンス。労働者の声を大切に、今年こそ懐も心も暖春にしたいものだ。