「フランスに何を見習うか」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 妻と娘がパリ初旅行し、その土産話が興味深い。

 パリは辻々にパン屋やケーキ屋、本屋があり、市場の果物屋、肉屋、花屋等々の小売店も結構繁昌している。特に街の小さな本屋は、いずれも趣があり、つい引き寄せられて孫へ絵本を買ったと言う。

 帰国後、娘がフランスに関する二つの記事を見つけた。一つは6月に成立した「反アマゾン法」で、議会は街の書店を「文化の担い手」と位置づけ、インターネットによる書籍の送料無料販売を禁止し、グローバル企業から町の本屋を守った(7月1日「毎日」)。

 もう一つはパリの女性市長が、政府の百貨店の日曜日休業見直し提案に対し、「小さな店が織りなすパリらしさを失いかねない」と拒否し、小売店擁護の姿勢を貫いた(6月14日「朝日」)。

 我が日本では中小小売店の休廃業(「隠れ倒産」)が激増し、昨年は10年前の2倍の約3万件(東京商工リサーチ調べ)に達し、街のゴーストタウン化が進んでいる。

 この違いはどこから来るのか? 娘はフランス人には軸となる価値観がしっかりしており「市場原理こそ正義」がまかり通る日本とは大違いだと言う。

 同じことは日本の組合にも言える。掲げる要求は正規組合員の利益に留まるべきでなく、もっと大きな枠組みで考え、外側にファンを獲得する必要がある。

 一方、妻はフランスの男性に魅了されたのか、「彼らには、ゆとりがあり、優雅で、気品があった。あなたも少しは見習いなさい」と言う。これは無理難題で、能弁な私が一言の反論も出来なかった。