「NHKの奴隷化宣言」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 「政府が『右』と言うことを『左』と言うわけにはいかない」。NHK籾井会長のこの発言は、いかなる勢力や団体にも影響されずに運営すべき公共放送の奴隷化宣言である。

 我が家では、かかる人物が「経営の中枢に居座る限り、偏りのない放送が担保されることはありえない」と、2月から受信料の支払い拒否を通告した。

 そもそもNHKの受信料は、戦時下に「大本営発表」を一方的に報道し、国民を戦争に駆りたてた歴史的経過から、公共放送の独立性を担保すべく、受益者から負担金を徴収し「確かな情報を伝える」ことを目的に、法律で許されているのだ。

 同じ公権力の監視を使命とするマスメディアでも、新聞は、終戦の11月『国民と共に立つ』(朝日)、『戦争責任の明確化』(毎日)の社告をもって、「国民を今日の窮境に陥らしめた罪を天下に謝せん」(朝日)と過ちを認め、また朝日新聞社は07年4月から1年間週5回「新聞と戦争」を連載し、「なぜ、紙面が戦争礼賛の記事で埋まったのか」を不十分だが検証した。

 だが、NHKにそれはなく、今回の籾井翼賛発言に至り法で定めた「確かな情報」は不可能と痛感した。

 ただ、受信料問題では、東京高裁が受信者の「承諾の意思表示がない場合でも契約は成立」と「契約申し込みの意思表示がなければ、契約は成立しない」の相反する判決を下している。

 それだけに、NHKが我が家を相手に支払い訴訟を起こす可能性がある。その場合、我われは受けて立つ覚悟だ。平和も民主主義も闘わなければ守れない。