「ついに過労死防止法が」

落語作家・笑工房代表 小林康二

 6月20日、過労死等防止対策推進法が参議院本会議で全会一致で成立。

 同法はその目的を「過労死等がなく、健康で充実して働き続けられる社会の実現」とし、過労死を業務上の疾病疾患に限定せず、心理的負担による自殺も含めた。そして国に過労死防止策推進の責務と過労死に関する調査研究を課し、「過労死白書」の作成と「過労死防止大綱」の策定を義務付け、大綱策定には過労死遺族及び労働者代表を含む「対策推進協議会」の意見を聴くこととした。調査の対象には個人事業主や会社役員も含め、11月を過労死防止啓発月間と定めた。また国・自治体への相談窓口開設、過労死防止の民間活動に対する支援など、わずか14条のシンプルな法律だ。

 ここには過労死を招く長時間労働の規制や、過労死発生事業主に対する罰則規定はないが、活用次第では「防止」への確かな一歩となる。

 同法の成立では過労死家族の会(寺西笑子代表)の活動を特筆すべきだ。国会請願署名55万筆、代表10人を国連人権委員会に派遣して過労死防止の「是正勧告」を出させ、昨年10月から会役員が東京にホテル住まいで全国会議員事務所を訪問し、同法制定への超党派議員連盟に130名を参加させた。「遺族の願いがこもっている」(岩城穣弁護士・同法制定実行委事務局長)のだ。

 過労死は「個人的受難」ではなく全労働者の問題だ。「家族の会」が開いた「防止」への道を労働組合がいかに引き継ぐか、組合の鼎(かなえ)の軽重が問われている。